ウクレレ習熟度別講座3◆私とウクレレ 2008/4/11 金曜日
1995年あたりに書いた文章を見つけたので再掲します。
私がウクレレをはじめた経緯が書いてあります。
最後の「ごちゃっとした木を作りたい」というのは、
まさに13年後のいまそうなっていますよ。
若きshima くん。
人が何か新しいことを始める時には、何かしらそのきっかけのようなものがあるのが普通であるが、私がウクレレを始めるにあたって、そのようなものがあった覚えはない。
ただそこまでに至った時に流れがあっただけである。今回はそこらへんのことを書こうと思う。
時は高校3年の4月の第2日曜日にさかのぼる。その日はうららかな新学期最初の休日であり、高体連を控え、サッカーの練習試合があった日である。オフサイドの網をかいくぐりバックスの裏で球をトラップした私は、いつものごとくゴールへ向かい一直線にドリブルしていった。キーパーと1対1になるとついぬきたくなるのが私の悪い癖で、右にかわそうとした瞬間私は宙を飛び肩から落ち、鎖骨をZ型に骨折して、入院することになってしまった。最後まで大会出場の希望は捨てなかったが、なにしろ骨の問題なので私の意のままにはならなかった。骨折部固定のため、2度手術をし計2ヶ月弱の入院生活をしたが、私はそこで発想を540度変えた。入院中の規則正しい生活のリズムを利用し、受験科目の英語を勉強し始めたのだ。退院後抜群にあがった英語の成績のおかげで大学の推薦の枠にもはまり、推薦入試にもなぜか受かり、大学に行けることになった。ひとえに骨折したおかげである。
大学3年の夏休み、1年2年と懸命に勉強(バイト)した甲斐あって自分の英語力(体力)にちっぽけな自信を得た私は、その心に小さく芽生えた自信をもっと大きなものにしようと、1人旅を計画することにした。クラスのみんなは「英語学科イギリス研修旅行」という単位認定可の例えてみれば高校でいう修学旅行のようなものに参加したが、まだこのときツアーコンダクターになりたかった私は、同じお金を使うなら勉強がてら自分で旅を組み立ててみたかった。しかもそのお金が私の2年間に渡る時間労働の汗の結晶であるならなおさらであろう、が、そのわりには綿密な計画を立てることもなく、往復航空券1枚持って日本を飛び出していったことには正直言ってその無謀さ無頓着さに、私は自己嫌悪するばかりである。とにかく安い切符を追い求めた結果、マレーシア経由でイギリス・スペインに向かうことになった私は、マレーシアの空港のベンチでいきなり一泊することになり、旅路の行方に暗雲たれこめたのを覚えている。英語専攻の私がイギリスに旅立ったのは当然至極のこととしても、英語のほとんど通じないスペインに行く理由は思いつき以外のどんなきっかけもなかった。「スペインに行きたい」ただそれだけのシンプルな思いで、私はイギリスからドーバー海峡を渡ってスペインに行く計画を立て、それを実行に移すことになる。イギリスに3週間スペインに1週間マレーシアに1日、計1ヶ月とちょっとの旅で、いろいろなことがあったが、ウクレレ購入にあたって関係があるのはスペインの部分なので、イギリスとマレーシアは紙面の都合もあり割愛することにする。さてスペインに上陸した私はかねてから興味のあったフラメンコを見にいき、その力強くもの悲しい音と踊りに感動以上の心の揺らぎのようなものを感じた。踊るスパニッシュを眺めながら、目の前がなぜかポーとやらぐらついて、激しいスパニッシュギターのリズムもまるで子守歌のように耳に響いた。
帰国した私はあの感動が忘れられずまっすぐに楽器屋へギターを買いに走ったのだった。店内をうろうろとしながらギターを物色していた私の視界の端っこに何か飛び込んでくるものがあった。ちっぽけにひっそりとたたずむウクレレコーナーだった。私の目はその場所に釘付けになり、取り憑かれたように1本の色のきれいなウクレレを手に取った。そしてなぜか私はウクレレを買った。
これが私がウクレレを買った一連のストーリーであり時間の流れである。
その後、流れだした時の勢いはとどまることを知らず、私の影響でウクレレにはまってしまった助教授(当時)のT氏と、冗談がてら大学で「ウクレレ研究会」なるものを作ったが、予想に反して会員を集めてしまい、活動として札幌市が主催する「ふれあいフェスタ」という催しに大道芸人として大通りでウクレレ演奏したり、ハワイのウクレレプロ奏者のハーブ太田さんという方に手紙を出して実際にハワイに会いに行ったりと行った具合に時は流れていった。
人生どこの枝葉がいきなり伸びてくるかわからないもので、主な幹を伸ばすための余計な枝葉を切っていくのも一計であるが、私のように放ったらかしにしておいて、その自由な生命のほとばしりのようなものを楽しむのも面白いと思う。甘い実1つのために闊達な枝葉を切り落としていくよりも、雑多な枝葉をことごとく大切にして、ごちゃっとした木を私は作りたい。
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